自動運転の実用化は想像より早い!2020年に期待

自動運転の実用化はどこまできてる?

最近になって、車の技術の進歩がすごいですよね。例えば、

衝突しそうになると自動でブレーキをかけたり、車間距離を自動で保ったり、車線からはみ出さずに走れたり。

その技術の行き着く先が完全自動運転なのですが…

では、自動運転の最先端技術はどこまで進んでいるのでしょうか。

自動運転の開発状況を国内と国外に分けて書いてみました。

自動運転のレベル分け

自動運転には開発の進み具合のレベルがあります。レベルの数字が上がるにつれて自動化の度合いが強くなります。

平成29年5月くらいまでは最終目標はレベル4でしたが、現在はレベル分けの基準が見直されてレベル5までになりました。

レベルの基準が変わったので、以前の基準のことが頭に残っていると混乱する可能性があります。

そこでまずは自動運転について、過去のレベルと現行のレベルについてまとめてみました。

過去のレベル分け

平成29年5月くらいまでは、レベル4まででした。レベル0というのもありますが、「自動化無し」なので省略です。

  1. レベル1 単独型
    レベル1では、まだドライバーが主体です。システムが、加速・操舵・制動のいずれかを行います。
    例)
    ・衝突しそうになると自動で止まる
    ・車線を読み取って、はみ出さないように走行する
    ・前の車に追従して走行する
  2. レベル2 システムの複合化
    レベル2でも、まだドライバーが主体です。システムが、加速・操舵・制動を複数同時に行います。
    例)
    ・高速道路での自動走行
    ・前の車に追従しながら、車線をはみ出さないで走行する

  3. レベル3 システムの高度化
    レベル3では、システムが主体です。システムが、加速・操舵・制動のすべてを行います。ドライバーは緊急時などにシステムの要請で操作を行います。

  4. レベル4 完全自動運転
    レベル4では、システムが運転のすべてを行います。ドライバーは運転に関与しません。

現在のレベル分け

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)のレベル分けが平成28年9月に変わったため、現在は日本も併せて変更しました。

現在では、自動運転はレベル5までになります。

  1. レベル1 運転支援
    レベル1は、ドライバーが主体です。システムが前後・左右のいずれかの一部操作を行います。
  2. レベル2 部分運転自動化
    レベル2は、ドライバーが主体です。システムが前後・左右の両方とも一部操作を行います。

  3. レベル3 条件付運転自動化
    レベル3は、システムが主体です。システムが限定条件下ですべての運転操作を行います。システムからの要請でドライバーが操作を必要とします。

  4. レベル4 高度運転自動化
    レベル4も、システムが主体です。システムが限定条件下ですべての運転操作を行います。システムからの要請を必要としません。

  5. レベル5 完全運転自動化
    レベル5は、システムがすべての運転操作を行います。システムからの要請を必要としません。

分類分けが一つ増えます。現行のレベル4が2つに分かれて、変更後のレベル4と5になった感じです。

国内の自動運転の状況

日本では東京オリンピックのある2020年までに、官民一体で自動運転の開発をしています。

具体的には2020年までに、日産は高速道路と一般道路の自動運転を、トヨタとホンダは高速道路での自動運転の実用化を計画しています。

そしてその後はどうなるのかというと…

経済産業省の計画では、2020年からは限定地域での無人自動走行を、2025年には現行レベル4の完全自動運転を目指すことになっています。

経済産業省の計画では、8年くらいで完全自動運転を目指すんですね!

映画で出てきたような未来の自動車が、わずか8年後に登場するかもしれません。

さしあたっては2020年に向けて、平成29年9月頃から平成31年3月にかけて、自動運転に関しての「大規模実証実験」を行う予定です。

大規模実証実験の内容は、「自動走行システム」の大規模実証実験の実施についてによると、

・高精度3次元地図試作データを用いた実走行検証(ダイナミックマップ)
・長距離運転時のドライバー状態のデータ収集(HMI)
・車両外部からのサイバー攻撃に対する防御機能確認(情報セキュリティ)
・歩車間通信(車と歩行者端末間の無線通信)の効果検証(歩行者事故低減)
・公共バスへの自動走行技術等の活用に関する検証(次世代都市交通)

となっています。

政府も自動運転技術の導入を後押ししているので、運転者がいることを前提とした自動運転では、特別な許可無く公道を走行することができます。

この点が他国に対してのアドバンテージですね。この官民一体となった取り組みで、世界最先端を目指します。

それでは、日本では日産、トヨタ、ホンダが主導して開発をしているので、それぞれの現状について見てみましょう。

日産

平成28年8月24日に、国内初のレベル2の車(セレナ)を発売しました。

日産の自動運転技術は「プロパイロット」といいます。

プロパイロットは、高速道路での渋滞走行と巡航走行を自動で行います。世界に先駆けて日本で発売されたので乗車された方もいるかと思います。

プロパイロットに興味がある方は多いようで、セレナの月間発売台数が目標の2倍を記録するなど売れ行きは好調です。

プロパイロットの性能を見ようとして日産セレナのホームページを見ると、以下の記述がありました↓

・プロパイロットは高速道路や自動車専用道路で使用してください。プロパイロットはドライバーの運転操作を支援するためのシステムであり、 自動運転システムではありません。安全運転をおこなう責任はドライバーにあります。

・わき見運転やぼんやり運転などの前方不注意および雨・霧などの 視界不良による危険を回避するものではありません。先行車との車間距離、車線内の位置、周囲の状況に応じてアクセル、ブレーキ、ハンドルを操作するなどして、 常に安全運転を心がけてください。

この中に「自動運転システムではない」というところと、「責任はドライバーにある」ということが書かれています。現状はレベル2なので運転者主体ですからね。

また、「前方不注意や天候などの危険を回避するものではない」とあります。プロパイロットはモノカメラを使用しています。

そのため、雨や霧、逆光などの悪天候時にはカメラで認識するのが困難です。レーダーや赤外線レーダーを使用すれば解決できるかもしれませんが、価格が上がってしまいますから実用性を考えると仕方ないところです。

今後プロパイロットは2018年には高速道路で車線変更を行えるようになり、2020年には高速道路だけでなく一般道路にも広げる予定です。

トヨタ

「Highway Teammate」という自動運転実験車を開発しています。

この車は、自動車専用道路の入り口ランプウェイから出口ランプウェイまでを自動で運転します。

こちらは平成27年10月に公開された動画です↓

動画では高速道路での運転の、

  • ICから本線への合流
  • ICでの分流
  • ジャンクションでの合流
  • レーンチェンジと追い越し
  • 車間保持
  • 急カーブの走行

を自動で運転しています。

トヨタはすでにかなりの部分で高速道路の自動運転を可能にしています。

この動画のような車を2020年までに実用化することを目指しています。

さらに、トヨタはレベル4に向けてAIの分野に力を入れます。

現在、AIの技術はグーグルが先行し、その後をメルセデスベンツが追っています。

そこでトヨタは平成28年1月にAIを研究するためのTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)を設立しました。

さらに深層学習や機械学習の研究機関のプリファード・ネットワークスにも出資します。

ここに来てトヨタも追い上げを始めていますが、はたしてグーグルに追いつけるのかどうか…

ホンダ

「Honda SENSING」という安全運転支援システムを導入しています。

このシステムは、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能などを備えています。

しかし残念ながら、ホンダは自動運転の分野では遅れをとっていると言われています。

ところが!

平成28年12月21日にグーグルとホンダが共同開発に向けた検討をすることになりました。

ホンダは当初から完全自動運転は目標としていませんでした。

それが最初から完全自動運転を目指して開発を進めていたグーグルと組むことで一気に巻き返すことができます。

今後はホンダ独自の路線と完全自動化路線を並行して進めていく予定です。

https://youtu.be/UICNoeRzRvM?t=1m21s

国外の自動運転の状況

国外自動車メーカーでリードしているのは?

もちろん国内だけでなく、国外でも自動運転の開発競争は始まっています。

現在自動運転で一歩リードしているのは、メルセデスベンツなどの欧州勢です。

メルセデスベンツは、平成28年に発売されたEクラスで「アウトバーン・パイロット」という機能を搭載しました。

この機能はウィンカーを出すだけで隣のレーンに自動で車線変更することができます。

自動運転のソフトウェア面

自動運転のシステム部分(AI)ではグーグルが先行しています。

歩行者、自転車、バイクなどの動きや複雑な道路環境などは状況によって変わります。

そんな複雑なプログラミングは人の手では困難です。そこで、グーグルが開発した深層学習という技術が登場します。

深層学習には公道実走実験による膨大なデータが必要になります。

そしてその公道実走実験で、グーグルは他社に圧倒的な差をつけているのです。

グーグルの目標は、インターネット検索を独占しているのと同様、自動運転のソフトウェアで圧倒的シェアを握ることにあります。

グーグルはグーグルマップ等の詳細な地図データをすでに持っています。自動車メーカーがグーグルに対抗できるのでしょうか。

[aside type=”normal”]深層学習(ディープラーニング)とは
深層学習は、人間の神経を参考にしてつくられた人工知能を用います。
この人工知能は、データに優先順位をつけることによって、幅広い判断をすることが可能になります。
例えば、重要なことは優先順位を高くして、補助的なことは優先順位を低くしたりします。
膨大なデータから人工知能が優先順位を自動で判断すれば、自動運転の複雑な処理もできるようになります。
グーグルは2012年に、深層学習によって「猫の判別」ができるようになったことで話題になりました。[/aside]

最後に

自動運転は始まったばかりだと思っていましたが、想像以上に技術の進歩は早いのだと感じました。

各国はこぞって自動運転の開発に力を入れています。そしてそれを制した国(会社)は利益を独占できたりするんでしょう。

日本はグーグルやメルセデスベンツを超えられるでしょうか。

是非とも日本に頑張ってもらいたいです。