平成29年3月12日に道路交通法が改正されて、普通免許と中型免許の間に準中型免許が新設されました。
免許の種類が増えるのは、平成19年6月2日以来ですから10年ぶりになります。
この法改正後は、普通免許の車両総重量と最大積載量が引き下げられます。
今から免許取得を考えている人は、道路交通法改正前に取得しておくのが断然お薦めです。
また、すでに免許を取得している人も、次の免許の更新のときに道路交通法改正後の基準に合うように免許証の記載が変更されます。
免許証が道路交通法改正後にどのように変わるのかは知っておいた方がいいと思います。
道路交通法改正後に既存の免許がどう変わるのかは、これまでの道路交通法改正の流れから考えると分かりやすいです。
理解できれば、
- 平成19年の道路交通法改正後に、なぜ普通免許は中型免許(8t限定)に変わったのか
- 平成29年の道路交通法改正後にはどう変わるのか
が分かるようになります。
1 「運転免許の既得権は保護される」←これ重要
準中型免許が新設されたことによって現在の免許がどう変わるかは、この既得権保護の考えが関わってきます。
これは、「現行の免許で運転できていた車は、道交法が改正されても乗車することができる」という考えです。
もしこの考えが無かったら、道路交通法改正後に運転できない車ができるわけですから、違反者が続出しそうです。
そのため、こういう考えが必要なんですよね。
平成19年の道路交通法改正以降に免許更新したときには、いきなり普通免許から中型免許(8t限定)に変わっていてびっくりした人が多かったと思います。
そして、平成29年の道路交通法改正でも同じことが起こります。
法改正前に取得した普通免許は、法改正後の免許更新のときに準中型免許に変わります。
免許更新のときに、「何これ!?」って驚かないでくださいね!
2 準中型免許新設でどう変わるのか
2-1 表の見方
上の表の見方を説明します。
表の横軸について
横軸は日付で、赤い▼マークは道交法の改正された日付です。
表は道路交通法の改正を境に色を付けています。
文章で書くと長くなってしますので、ここから先は色で期間を表していきます。
- 平成19年6月2日以前:オレンジ色の期間
- 平成19年6月2日から平成29年3月12日の間:青色の期間
- 平成29年3月12以降:緑色の期間
表の縦軸について
縦軸は、車両総重量と最大積載量です。
上に行くにつれて、車両総重量と最大積載量が大きくなります。
表の中の区切り線の下の数字は、車両総重量(最大積載量)を表しています。
例えば、緑色の期間(平成29年の道路交通法改正後)では、
- 普通免許 :車両総重量3.5t未満
(最大積載量2t未満) - 準中型免許:車両総重量3.5t以上〜7.5t未満
(最大積載量2t以上4.5t未満) - 中型免許 :車両総重量7.5t以上11t未満
(最大積載量4.5t以上6.5t未満) - 大型免許 :車両総重量11t以上
(最大積載量6.5t以上)
になることを表しています。
・車両総重量=車の重さ+人の重さ+荷物の重さ
・人の重さは、乗車定員まで乗ったときの重さです。
日本では1人を55kgとして計算します。
・荷物の重さは、最大積載量いっぱいまで積んだときの重さです。
2-2 免許の種類と条件はどう変わる?
普通免許が法改正によって免許の種類や条件が変わります。
オレンジ色の期間で免許を取った人と、青色の期間で免許を取った人の免許証がどう変わるかを見てみましょう。
まず、オレンジ色の期間で免許を取った人。
この時、普通免許を取得していた人は車両総重量8t(最大積載量は5t)まで運転できました。
ということは、既得権の保護の観点から、法改正後も8t(5t)まで運転できます。
その人が平成19年の道路交通法改正を過ぎると青色の期間に入ります。
この法改正後は、車両総重量8t(最大積載量5t)は中型免許の範疇になります。
(上の図でいうと、丸印の1の部分になります。)
ただし、中型免許といっても車両総重量8tまでしか運転できないので、免許はこうなります。
免許の種類:中型免許
免許の条件:中型車は中型車(8tに限る)
普通免許が中型免許(8t限定)に変わっても、運転できる車は全く変わりません。
さらに平成29年の道路交通法改正を過ぎると、緑色の期間に入ります。
車両総重量8tは、緑色の期間になっても中型免許の範疇です。
(上の図でいうと、丸印の2の部分になります。)
中型免許(8tまで)から中型免許(8t)になるだけなので、免許証の記載はこれまでと変わりません。
免許の種類:中型免許
免許の条件:中型車は中型車(8tに限る)
まとめると、オレンジ色の期間で免許を取得した人は、道路交通法改正があったときに…
普通免許 → 中型免許(8t限定)→ 中型免許(8t限定)
といった経過をたどります。
続いて、今度は青色の期間で免許を取った人です。
この時、普通免許を取得していた人は車両総重量5t(最大積載量3.5t)まで運転できました。
道路交通法改正後も既得権の関係で、車両総重量5tまで運転できます。
その人が緑色の期間に入ると…
法改正後の車両総重量5tは、準中型免許の範疇になります。
(上の図でいうと丸印の3の部分です。)
ただし、準中型免許といっても車両総重量5tまでしか運転できないので、免許はこうなります。
免許の種類:準中型免許
免許の条件:準中型で運転できる準中型車は準中型車(5tに限る)
まとめると、青色の期間で免許を取得した人は、法改正があったときに…
普通免許 → 準中型免許(5t限定)
となります。
さらに、二種免許も含めた免許の条件について記事にしました↓
運転免許証の条件がまた複雑になった!なぜそうなるのか説明
2-3 乗車定員
乗車定員は、先ほどの表の区分を利用すると分かりやすいです。
先ほどの表に乗車定員を書き込んでみると、以下の表になります。
ここで疑問に思うかもしれませんが、オレンジの期間が半分斜線になっていますね。
これには理由があります。
オレンジの斜線の部分は、特定大型車といって、以前は他の大型自動車と区別していました。
オレンジの期間は、普通免許と大型免許の2種類のように見えて、実は特定大型車を含めると3種類ありました。
その特定大型車の範囲が現在の大型免許になっています。
・大型自動車の中で、以下の条件に当てはまる車両
車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員30人以上…
・年齢が21歳以上、運転経験3年以上が必要
では、乗車定員を見てみましょう。
こうして表を見てみると、乗車定員は3種類あることが分かります。
- オレンジ色の期間の大型免許(特定大型車)に合わせて、一番上の列は30人以上乗車できます。
- オレンジ色の期間の大型免許(特定大型車の部分を除く)に合わせて、上から2番目の列は11人〜29人です。
- オレンジ色の期間の普通免許に合わせて、表の下半分は10人以下になっています。
そして、平成29年の法改正後の乗車定員は…
大型免許 30人以上
中型免許 11〜29人
中型免許(8tに限る) 10人以下
準中型免許 10人以下
準中型免許(5tに限る)10人以下
となります。
2-4 適性検査(視力、深視力、聴力、運動能力)
準中型免許の適性検査は、中型免許や大型免許と同じ基準になります。
つまり、準中型免許は深視力が必要です。
- 両眼で0.8以上
- 一眼がそれぞれ0.5以上
- 深視力として、三桿法の奥行知覚検査器による検査(3回)の平均誤差が2センチ以内
中型免許(8t限定)が深視力は必要ないのに、準中型免許は必要になりましたね…
これ、かなり紛らわしいルールになってしまったんじゃないでしょうか。
道路交通法改正後に準中型免許(5t限定)の免許を限定解除して準中型免許にした場合は、次回の免許更新のときに深視力の検査を受ける必要があります。
このときに深視力の検査が不合格になった場合は、普通免許に格下げされます。
準中型免許(5t限定)には戻らなくて、普通免許ですよ。
ということは、限定解除する前の方が乗れる車が多かったということになりますよね。十分注意してください。
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