自転車が左側通行は無理なのか…守らないといけない理由

自転車道

自転車が車道や路側帯を通行するときは、左側通行をしなければなりません。(平成25年12月1日の道路交通法改正より)
でも、未だに左側通行が浸透しているという感じがしないんですよね…

自転車の左側通行は守れずに、このまま現状維持を続けていくのでしょうか?

左側通行の理由はネットで調べるといろいろ出てきますが、

  • 正面衝突の危険性
  • 衝突時の被害の大きさ

がよく出てきます。

でも、もっと考えると他にもありそうなので、左側通行しなければならない理由を思いつくものすべて挙げてみました。

1 左方から来る自転車は左側通行しないと危険

自動車が直進するときに、見通しの悪い交差点の左側から自転車が来ている場合を考えてみます。

自転車の右側通行1

  • 自転車が左側通行をしていると、自動車から遠い方を走行しています。(A車)
  • 自転車が右側通行をしていると、自動車から近い方を走行しています。(B車)

見通しが悪い交差点であれば、右側通行の自転車は死角部分に隠れてしまうため交差点の直前でしか発見できないでしょう。
また、発見が遅れるだけでなく自動車との距離も近いため、突然すぐ近くから現れたように見えます。

自動車が注意深く運転していないと、急ブレーキをかけたり急ハンドルを切るなどの慌てた行動につながりかねません。
最悪の場合は出会い頭の事故につながります。

2 左側通行の自転車の方が視界に入りやすい

交通量の多いT字の交差点で左折(交差点の突き当たりで左折)するところを想像してみてください。

自転車の右側通行2

  • 自転車が左側通行していると、自動車から見て右側から走行してきます。(B車)
  • 自転車が右側通行していると、自動車から見て左側から走行してきます。(A車)

自動車の運転者は道路の右側と左側のどちら側に注意が向くでしょう?
自動車は左側通行なので、右側から自動車が走ってきます。そのため、どうしても交差点の右側に注意が向きます。(B車の方)
自動車の運転者は交差点の左右両方とも安全確認しなければならないのですが、実際のところ左側は優先度が低くなってしまうのです。

では、このときに自転車が右側通行してきた場合はどうなるでしょう。
自転車が右側通行している場合(A車)は、自動車が来ない方向から来ます。

自転車が右側通行していると、自動車の運転者から見れば、注意が向きにくい左側から来ることになります。
自転車は、わざわざ見落とされやすい右側通行する必要は無いでしょう。他の自動車と同じ左側通行にする方が安全ですね。

[aside type=”warning”]自動車の運転者の注意点
当然のことながら、自動車の運転者は交差点の左右両方とも安全確認しなくてはいけません。
・右側から歩行者が来る場合
・自転車が歩道を通行できる場合は左側通行の規則は無い
・左側通行のルールを知らなくて(あるいは無視して)走行してくる自転車の存在
があるため、右側から来る自動車に気をとられないようにする必要があります。
[/aside] [aside type=”normal”]自転車が歩道通行をすることができる場合とは
自転車は原則として車道を通行しないといけませんが、例外があります。

・「歩道通行可」の標識があるところ
・ 車道や交通の状況でやむを得ない場合
・13歳未満のこども、70歳以上の高齢者、体の不自由な方

これらの例外の場合は歩道を通行できますが、本来歩道は歩行者が通行する場所です。
通行させてもらっているという気持ちが必要です。
[/aside]

3 右側通行すると正面衝突の可能性がある

自転車が自動車と同じ左側通行であれば正面衝突はありませんが、右側通行の自転車だと正面衝突が考えられます。

自転車の右側通行3

  • 自転車が左側通行していると、自動車と同じ方向に走行しています。(B車)
  • 自転車が右側通行していると、自動車に向かって走行しています。(A車)

自動車との正面衝突

例えばイラストのような場面では、自転車同士がすれ違うときに自転車が自動車側に避けると、避けた自転車と自動車が正面衝突することがあります。
自転車が左側通行をしていれば、自転車が前の自転車を追い越そうとしない限り自動車側にはみ出してくることは無いでしょう。

自転車同士の正面衝突

イラストの場合のように右側通行している自転車がいると、自転車同士の正面衝突事故も考えられます。

イタルダインフォメーションの「自転車相互事故の累計(平成22〜26年合計)」に、自転車同士の交通事故の統計が出ています。
自転車の事故で最も多いのは出会い頭で約50パーセント。これは断トツです。そして次に多いのが自転車同士の正面衝突です。

もし自転車がお互い時速20キロで正面衝突すれば、40キロで壁に衝突したのと同じ衝撃を受けます。
自動車であればシートベルトやエアバッグなどが守ってくれますが、自転車は無防備同然なので当然被害も大きくなります。
お互いが左側通行していれば正面衝突はなくなります。

正面衝突の衝撃力について

正面衝突の怖さは、衝撃力の大きさです。自動車が時速30キロ、自転車が時速10キロで正面衝突をすると、相対速度は時速40キロとなります。
自動車と自転車が同一方向に進んでいるときよりも、事故が起こったときの被害が大きくなります。

時速40キロで自動車と自転車が衝突したときの動画がありました。交通安全のスタントさんが講習を行っている映像です。
思った以上に時速40キロの衝撃力は大きいです!!

時速40キロの衝突動画

4 見通しの悪いカーブでは左側通行の方が見やすい

見通しの悪いカーブを想像してみてください。

自転車の右側通行4

  • 自転車が左側通行していると、自動車からは見やすい位置を走行してきます。(A車)
  • 自転車が右側通行していると、自動車からは見にくい位置を走行してきます。(B車)

自動車の運転者からだと、見通しの悪い左カーブの道で対面から来る右側通行の自転車(B車)が死角に入ります。

もし右側通行の自転車がカーブで外側にはみ出してきた場合は、正面衝突になる恐れがあります。自動車から見ると、死角部分から自動車の正面にいきなり現れたような状態になるのでたいへん危険です。

5 自転車が左折するときは左側通行側に行く方が安全

自転車が交差点で左折するところをだと思ってください。

自転車の右側通行5

  • 左折後に左側通行しようとすると、自転車はA車の位置に来ます。
  • 左折後に右側通行しようとすると、自転車はB車の位置に来ます。

B車の場合、左折方向から車の前方を通過するので、自動車と接触する可能性があります。
A車の方が安全に左折していると思います。

最後に

道路交通法で決められたルールは、必ず理由があります。なぜそういうルールなのか説明できなければ、自分でも理解できていないということになります。
それから、そのルールの理由をいろいろな場面を想像して自分で考えてみるのもいいなと感じました。もっと考えれば他にも理由はありそうですね。