MT車のクラッチ操作の仕方を、なるべく分かりやすいように説明してみました。
クラッチの仕組みが全く分かっていないと、運転も上手くできません。
・なんで半クラッチって必要なの?
・なんで止まるときにクラッチを踏むの?
など、操作自体に疑問がある人は、自分がどういう操作をしているのか分かっていた方が上達が早いですよ。
クラッチの動作の仕組みと、上手に発進するコツを書いてみたので参考にしてみてください。
★ハンドル操作はこちら↓
車のハンドルが上手に回せない理由>>
★ブレーキのかけ方はこちら↓
ブレーキペダルをどう踏むのがいいか>>
1 エンジンをかけるときのクラッチ操作
自動車学校では、エンジンをかけるときにクラッチをしっかり踏んでからキーを回すように教えてもらいます。
クラッチペダルを踏まずにキーを回しても、エンジンはかかりません。
では、なぜクラッチペダルを踏んでいないと、エンジンはかからないのでしょうか。
その答えを、クラッチの動作から説明していきたいと思います。
まず、クラッチというのはエンジンとタイヤの間にあって、2枚の丸い円盤のようなものだと思ってください。
エンジンがかかる前は、そのクラッチの円盤がぴったりくっついています。(下のイラストの青い部分がクラッチです。)
この状態でエンジンをかけるとどうなるでしょう?
キーを回すと、エンジンがすぐに回り始めます。すると、エンジンとタイヤがつながっているので、エンジンの回転がすぐにタイヤに伝わってしまいます。
これでは、キーを回した直後に車が動き出してしまったり、エンジンに負担がかかりすぎてエンストしてしまいます。
そこでエンジンをかけるときは、まずクラッチの円盤を離すことによって、エンジンとタイヤを切り離す必要があるのです。
そうすれば、エンジンが回り始めても、タイヤと離れているので動くことはありません。(下のイラスト参照)
クラッチの円盤を切り離すには、クラッチペダルを踏み込みます。クラッチを踏むと、下のイラストのようにクラッチの円盤が離れます。(一番左のイラスト)
クラッチペダルを踏んで、エンジンとタイヤを切り離してから、キーを回しましょう。それで安全にエンジンがかかります。
さて、ここまでの話で、クラッチペダルを踏まずにエンジンをかけてはいけないことを説明しました。
ところが…
いけないと分かっていながら、うっかりクラッチペダルを踏まずにエンジンをかけてしまう人もいます。
ブレーキをかけていないと、短い距離ですが、車は突然動きます。以前に、その誤操作によって死亡事故につながってしまったこともありました…
そこで事故防止のため、「クラッチ・スタートシステム」という安全装置が開発されたのです。
この装置は、誤発進防止のため、クラッチペダルを踏み込んでいないとエンジンがかからないようにするものです。
現在はこの装置がついている車がほとんどなので、クラッチペダルを踏んでいないとエンジンはかからないのです。
クラッチペダルを踏んでいないと車を動かすことができなくなってしまいます。運転している間、ずっとクラッチペダル踏みっぱなしでは疲れてしまいますよね。
2 発進時のクラッチ操作
エンジンがかかった後は、いよいよ発進します。クラッチペダルの操作は、自動車学校では、
- クラッチペダルをいっぱいまで踏み込む
- 半クラッチまでペダルを上げて、少し止める
- ゆっくりペダルを離す
となっています。なぜそのような操作が必要なのか説明してみます。
今回はクラッチのことについて説明したいので、アクセルについては説明していません。発進時は軽くアクセルを使いながらクラッチを上げていくと加速が良くなるし、エンストしにくくなります。
2−1 踏み込んだ状態から半クラッチまでの操作(前半)
エンジンは、クラッチペダルをいっぱいに踏み込んだ状態でかけるんでしたよね。
そのため、最初の足の位置は、クラッチペダルをいっぱいに踏み込んだ(A)の位置です。クラッチの円盤は完全に離れています。(下のイラスト参照)
この状態から発進するには、クラッチペダルを上げて円盤がこすれあう状態にします。(B)の位置ですね。(下のイラスト参照)
この位置までクラッチペダルが上がると、エンジンとタイヤがつながって、車が動き始めます。
この位置が半クラッチ(半クラ)と言われる場所です。
半クラッチになったかどうかは、
・車が動き始めた
・ブルブルと震えだした
というように、動きに変化が出ることで分かります。
半クラッチになった!
と思って、すぐにクラッチペダルを離してはいけませんよ。
クラッチペダルがこすれ合って、ジワッと発進させる必要があります。
急にクラッチペダルを離すと、エンジンの回転が急にタイヤにつながり、急発進したりエンストしてしまいます。
さて、ここでクラッチペダルの操作について大事なことがあります。
このこすれ合う位置までは、円盤がくっついていないので車は動きません。ということは…
クラッチペダルは、Aの位置からBの位置までは、なるべく早く上げた方がいいということになりませんか?
そうしないと、発進するのが遅くなるし、坂道では後ろに下がってしまいます。
すばやくBの位置までクラッチを上げてジワッと動き始めます。その位置を少し続けることでゆるやかな発進をすることができます。
Bの位置まではクラッチペダルを早く上げた方がいいのですが、最初はゆっくり上げて、車が動き出す高さ(Bの位置)を覚えます。それを徐々に早くしていきましょう。
2−2 半クラッチからペダルを離すまでの操作(後半)
半クラ(Bの位置)では、クラッチの円盤がこすれあっている状態でした。このBの位置からCの位置までは、しっかりとエンジンの回転がタイヤに伝わる範囲です。
この範囲を急いでくっつけてしまうと、急発進になるか、エンジンに負担がかかりすぎてエンストしてしまいます。
そこで、Bの位置からCの位置までは、ゆっくりとクラッチペダルを上げていきます。
どうでしょう…5秒くらいかけて足をペダルから離す感じかな。発進時のクラッチ操作は本当にゆっくりなんです。
最初は「左足が震えてくるし、疲れる」ので、これは正しい操作なのか疑問に感じるかもしれません。でも慣れればムダな力が抜けて疲れなくなってきます。
BからCまでの範囲は、想像しているより広いことが多いですよ。
半クラから上をゆっくり上げるのは分かっているのですが…
「もうここならいいだろう」とクラッチペダルを上げたら、実はまだゆっくり上げなければならない範囲だった
ということがよくあります。クラッチペダルを踏むと、クラッチペダルが足を押し返してきますよね。
その押し返しがどこまで続くのか確かめてみると分かりやすいかもしれません。BからCまでは、意外と長い範囲ゆっくり上げることに注意しましょう。
という場合は、半クラッチの位置が正しいBの位置まで上がっていません。AとBの間を半クラだと思いこんでいるので、発進が遅れています。
そして、ようやく動きだしたと思ったら、残りの後半を早く上げすぎているのでガタガタくるのです。
3 止まるときにクラッチを踏む理由
車を止めるときに、なぜクラッチペダルを踏まないといけないのか疑問に思ったことはないでしょうか?
踏まないとエンストすることは分かっていても、理由が分かっていない人は多いと思います。
では、説明していきたいと思います。
まず、キーを回すと、すぐにエンジンは回転を始めます。キーをOFFにしない限り、エンジンは常に回っているのです。
半クラにすると、タイヤに回転が伝わって車が動き始めます。そしてアクセルを踏むと、エンジンの回転が速くなり、タイヤが速く回って速度が上がります。
つまり、エンジンの回転が速くなるとタイヤの回転も早くなり、速度が上がるということです。
では、ブレーキをかけるとどうなるでしょうか。
ブレーキペダルを踏むと、ブレーキによってタイヤが止まろうとします。
どんどん速度が落ちていくと、タイヤは止まってきますよね。でも、エンジンは常に回っているので…
エンジンは回ろうとしているのに、タイヤは止まろうとする、という状態になります。
動こうとするエンジン VS 止まろうとするタイヤ
になる訳ですね…
これではエンジンが悲鳴をあげて、エンストしてしまいます。
そのため、止まる直前にエンジンとタイヤを切り離す必要があるのです。
クラッチ操作のまとめ
自動車学校では、当然クラッチ操作について説明してもらえます。でも、なぜそういう操作になるのかは、時間も限られているので詳しく説明してもらえないかもしれません。
理屈よりも実践というのも大事ですから。でも、動作の仕組みを理解している方が、もしかすると上達が早いかもしれません。
理屈が分かると、「こうしないといけないんだった!」と操作の忘れ防止にもなるかもしれませんね。
難しいクラッチ操作ですが、知識を持って練習すれば、徐々に上達していきますよ。
頑張っていきましょう!
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