急制動は、タイヤをロックさせずになるべく短い距離で止まるための練習です。
緊急時に短い距離で停止するのは重要なことですけど、ブレーキのかけ過ぎは転倒するので怖いんですよね…
でも、実は二輪車は、
- 新型車は平成30年の10月から
- 継続生産車は令和3年の10月から
ABSまたはCBSが義務づけになります。
ABSが全車に搭載されれば、急制動もブレーキを強く握るだけになるので簡単になりますね!
だから、急制動なんて平気、平気!
って思うのは早すぎます^^
令和3年10月からは新車を購入すればそういう安全装置がついていますが、市場に出回っているバイクはついていないものがほとんどです。
ということで、今後もまだまだ現行の急制動の練習は無くならないでしょう。
事故防止のため、頑張って練習していきましょう!
ABSは、急制動時でもタイヤのロックを防止する装置のこと。
CBSは、前後輪に適切な制動力を配分して最適な制動をする装置のこと。
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急制動の練習の流れ
急制動の練習をするときは、おそらく教官に
「線を越えていいから強いブレーキをかけないように」
とアドバイスされると思います。最初は急制動になっていなくてもいいので、いつものブレーキで停止してみます。
いつものブレーキで停止してみたときに、急停止限界線をどのくらい行き過ぎているか覚えておいてください。
例えば、少ししかはみ出していないようだったら「少しブレーキを強めるだけでいいのかな」というように、だいたいの目安になります。
それからは、ブレーキを徐々に強くしていき、なるべく短い距離で停止できるブレーキの力加減を探っていきます。
ここで注意しなくてはいけないのは、急停止限界線に合わせてブレーキをかけてしまうことです。
成功したいあまりに線に合わせてブレーキを強くかけてしまうと、強すぎてタイヤがロックということになりかねません。
線に合わせるのではなく、あくまでも停止限界線手前で止まれたときのブレーキの力加減を覚えるのです。
急制動と荷重
二輪車は加速したり減速したりすると、タイヤにかかる荷重が変わります。
荷重はブレーキをかけ方に影響します。
では、まず荷重の基本ですが、
- 加速すると前輪への荷重が小さくなり、後輪への荷重が大きくなる
- 減速すると前輪への荷重が大きくなり、後輪への荷重が小さくなる
となります。
ブレーキをかけるときはこの荷重によって力加減を変えていきます。
前輪に荷重がかかっていると、前輪ブレーキを強くかけることができます。
その代わり、後輪の荷重が小さくなるので後輪ブレーキを弱くしなければいけません。
それとは反対に、前輪に荷重がかかっていないときは、前輪ブレーキは強くかけられません。強くかけるとロックします。
その代わり、後輪ブレーキは弱くなくても大丈夫です。
この特徴を覚えておきましょう。
・タイヤと路面の接地面部が大きくなる
・タイヤが路面に押しつけられる
ことにより、摩擦が大きくなります。摩擦が大きい分、ブレーキも強くかけることができます。
急制動のブレーキ操作
さて、では急制動のブレーキはどのようにかければいいのかを考えてみます。
急制動開始地点まで
急制動では開始線からブレーキをかけて、急停止限界線までで停止します。
この開始線に来たときに一番いい状態なのは、エンジンブレーキで前輪に荷重がかかっているときです。
アクセルを戻すことによりエンジンブレーキがきき始めます。
そのとき少し減速してしまうので、開始線前は40km/hよりも少し速度を上げておきます。
開始線まで来たときにアクセルが戻っていれば合格です。
前輪に荷重がかかっているので、この後の前輪ブレーキでロックする可能性を減らすことができました。
それから、一番やってはいけないことを書いておきますね。
急制動で転倒する人の多くはこれをやってしまうんです…
急制動の悪い流れはこうです↓
- スタートする
-
開始線直前で速度が足りない…
-
ちょっと加速して40km/hにする
-
開始線で急制動
-
ロックして転倒
これは何がいけなかったでしょう?
一番ダメなところは、直前で加速しているところです。
加速したことにより、前輪の荷重が小さくなっています。そこへ急制動のブレーキをかけるとどうなるか…
前輪にとってみれば、開始線直前で持ち上げられて、一気に叩きつけられたような感じです。ロックしやすくなりますよね。良いパターンの逆をやってしまっているんです。
急制動開始地点から停止まで
開始線まで来たら、ニーグリップをしっかりして、前後輪ブレーキを同時にかけます。
では、まずは前輪ブレーキから説明します。
前輪ブレーキを一気にかけないように注意しながらかけると、さらに前輪に荷重がかかっていきますね。
前輪に荷重がかかれば、前輪ブレーキをもっと強くかけることができるようになります。
つまり、前輪ブレーキは、徐々に強くかけることができるということなんです。(もちろん限界あり)
教本などの表現では、
「ロックしないようにギュウッと握りこむように」
となっています。これは、徐々に強くしていくということを意味していると思います。
しかし、表現って難しいですね…
急制動なので、ジワッとでは遅すぎるし、ギュッとだと早すぎるし。
そこで「ギュウッ」とですよ!
よく発見しましたね。
それから後輪ブレーキはというと、私の感覚では
「ちょっと触っている」くらいの感覚です。
後輪は荷重が小さくなっているので、すぐにロックしますからね。
しかし、後輪ブレーキは何かいい表現はないでしょうか?
「すぅうっと」、「マッタリと」、「ふんわりと」…
思いつきません。
ということでポイントは、
- 開始線前はエンジンブレーキを使う
- 前後輪同時にかける
- 前輪ブレーキは徐々に強く(ギュウッと)かける
- 後輪ブレーキはほんとに優しく
でした。
卒業検定の基準と採点法
指示速度と制動距離
指示速度
普通二輪と大型二輪は、40km/h以上
(小型二輪は30km/h以上)
制動距離
普通二輪と大型二輪は、乾燥時11m以内、湿潤時14m以内
(小型二輪は乾燥時8m以内、湿潤時11m以内)
採点方法
失格行為
- 転倒
-
オーバーライン
急停止限界線から前輪の接地面部がはみ出したとき -
以下の項目でやり直しをしたが、2度目も失敗したとき
指定速度(40km/h)に達しない速度で開始線にさしかかった場合
開始線での速度は指定速度になっていたが、開始線手前から制動を始めた場合
減点項目
- 指定速度(40km/h)に達しない速度で開始線にさしかかった場合(10点)
- 開始線での速度は指定速度になっていたが、開始線手前から制動を始めた場合(10点)
合格するためには
急制動は開始線よりも手前でブレーキをかけると、1度目は減点でやり直した2度目で失敗すると失格です。
最初は焦って開始線よりも手前でブレーキをかけやすいので、教官に見ていてもらって確認してもらってください。
卒業検定では、二輪車に付いているランプの色により、
- ブレーキをかけた地点
- 走行速度
が分かるようになっています。
ごまかしはできないので普段の練習から基準をクリアできるようにしておかないといけません。この課題は失格行為がはっきり分かるので普段からの練習が重要です。
急制動と路面の状態
急制動をするときに路面が濡れている時は、乾燥しているときと同じ強さのブレーキをかけると転倒します。
だから、いつもの急制動よりも優しくかけます。
どのくらい優しくかと言うと、急制動じゃなくて、普段の赤信号で止まるブレーキくらいのイメージです。
卒業検定では路面が濡れていると急停止限界線が長くなるので、それで大丈夫です。
なんか、雨の日の方が晴れた日よりも簡単な気がします。(私の感覚ですが^_^;)
もし卒業検定で雨が降ったら…
「雨でラッキー」と思ってやってみましょう。ポジティブにね。
最後に
急制動は、途中で姿勢を変えなくて済むように、最初に教官に見てもらうことをお勧めします。
急制動が安定してできるようになったときに、「なんか…腕を超リラックスして急制動できたらいいな」と思ってしまいました。
ニーグリップをガチガチにして、ハンドルに一切力がかからないようにして急制動。
やってみました。ブレーキの強さは同じにして。
結果は…
前輪ロックです(T-T)
これは姿勢が以前より起き上がったので、前輪への荷重が減って、後輪への荷重が増えたことが原因だと思います。
バランスが変わったからブレーキ配分を変えればよかったのに経験不足でした。
ということで、同じ姿勢で練習を積んだ方がいいというお話でした。
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