道路交通法改正後の複雑な高齢者講習を解説

高齢者講習の流れ(更新前)
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【平成29年3月12日の法改正対応】

平成29年3月12日より、新高齢者講習制度が始まります。

今回の道路交通法改正で、高齢者講習の流れがかなり複雑になっています。法改正後、流れが分からずに困る方もいるのではないでしょうか。

もう今までの高齢者講習とは別物ですから、今までの講習のことは忘れて、スパッと新たに覚え直しておきましょう^_^;

1 道路交通法改正後の高齢者講習の流れ

新高齢者講習制度の流れを図にしてみました。今までは更新時のみでしたが、道路交通法改正後は免許更新後も臨時の認知機能検査や高齢者講習を受講する可能性があります。今回は免許更新前と後で分けて図にしてみました。

認知機能検査の正式名は「講習予備検査」ですが、検索では「認知機能検査」の方が多いようです。ということで認知機能検査と書くことにします。

1-1 免許更新前の高齢者講習の流れ

高齢者講習の流れ(更新前)

※75歳未満の人が緑色のライン、75歳以上の人がオレンジ色のラインです。

75歳未満の人

上の図で言うと、緑色のラインの人になります。75歳未満の人は認知機能検査を受ける必要が無いので、2時間の高齢者講習を受講します。
この2時間の高齢者講習を受講すれば免許証を更新することができます。

75歳以上の人

上の図で言うと、オレンジ色のラインになります。認知機能検査の結果によって、この後の高齢者講習が2時間になるか3時間になるかが決まります。

  1. 第3分類の人
    認知機能検査の結果が第3分類の人は、2時間の高齢者講習を受講します。講習を受講すれば免許証を更新できます。

  2. 第2分類の人
    認知機能検査の結果が第2分類の人は、3時間の高齢者講習を受講します。講習を受講すれば免許証を更新できます。

  3. 第1分類の人
    認知機能検査の結果が第1分類の人は、臨時適性検査または医師の診断を受けます。臨時適性検査または医師の診断を受けない場合は、免許停止の行政処分の対象となります。認知症だと認められた場合は、免許の取り消しを含む行政処分となります。認知症ではなかった場合は、3時間の高齢者講習を受講すれば免許証を更新することができます。

認知機能検査の分類
第3分類:記憶力・判断力に心配のない者
第2分類:記憶力・判断力が少し低くなっている者
第1分類:記憶力・判断力が低くなっている者

1-2 免許更新後の高齢者講習の流れ

高齢者講習の流れ(更新後)

75歳未満の人

上の図で言うと、緑色のラインの人になります。免許の更新後は、次の更新までそのまま免許が継続されます。
ただし、75歳未満で免許の更新をしていても、更新後に75歳以上となった場合は75歳以上の人とみなされます。

75歳以上の人で一定の違反が無い人

上の図で言うと、オレンジ色「一定の違反なし」のラインの人になります。免許の更新後は、次の更新までそのまま免許が継続されます。

75歳以上の人で一定の違反をした人

オレンジ色「一定の違反あり」のラインになります。一定の違反をした場合は、臨時認知機能検査を受けなくてはなりません。
(臨時認知機能検査を受けないと免許取消・停止といった行政処分となります。)

その臨時認知機能検査の結果によって、医師の診断書が必要になったり、臨時高齢者講習を受けることになったりします。

  1. 認知機能が低下していない第3と第2分類の人
    前回の認知機能検査と比べて認知機能が低下していない場合は、そのまま免許が継続されます。以下のパターンの人が該当します。
    第3分類 → 第3分類
    第2分類 → 第3分類
    第2分類 → 第2分類
    第1分類 → 第3分類
    第1分類 → 第2分類

  2. 認知機能が低下している第2分類の人
    前回と比べて認知機能が低下している第2分類の場合は、臨時高齢者講習の対象となります。この講習を受講すれば免許が継続されます。
    臨時高齢者講習を受講しなかった場合は、免許取消・停止の行政処分となります。以下のパターンの人が該当します。
    第3分類 → 第2分類

  3. 第1分類の人
    第1分類の場合は、認知機能が低下しているかしていないかに関わらず臨時適性検査または医師の診断を受ける必要があります。
    臨時適性検査または医師の診断を受けない場合は、免許停止の行政処分の対象となります。また、認知症だと認められた場合は免許取消・停止といった行政処分となります。
    前回に比べて認知機能が低下している場合は、臨時高齢者講習を受講すれば免許証を継続することができます。以下のパターンの人が該当します。
    第3分類 → 第1分類
    第2分類 → 第1分類
    前回に比べて認知機能が低下していない場合は、そのまま免許証が継続されます。以下のパターンの人が該当します。
    第1分類 → 第1分類

一定の違反とは

認知機能が低下すると、信号無視、一時不停止、運転操作不適などの危険な行動の割合が高くなるとされています。
一定の違反とは、認知機能が低下したときに起こしやすい以下のような違反をいいます。

1. 信号無視
2. 通行禁止違反
3. 通行区分違反
4. 進路変更禁止違反
5. 横断等禁止違反
6. 指定場所一時不停止等
7. 指定通行区分違反
8. 優先道路通行車妨害等
9. 横断歩道等における横断歩行者等妨害
10. 交差点優先車妨害
11. 横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害
12. 遮断踏切立入等
13. 徐行場所違反
14. 環状交差点通行車妨害等
15. 交差点右左折等方法違反
16. 環状交差点左折等方法違反
17. 合図不履行
18. 安全運転義務違反

今回の道路交通法の改正で、15〜18までの項目が追加されました。

 

2 高齢者講習の変更点

従来の高齢者講習制度と変わったところをピックアップしてみます。

2-1 臨時認知機能検査の導入

以前は免許の更新時のみ認知機能検査を行っていました。法改正後は更新時だけでなく、免許の更新後に一定の違反をした場合も臨時に認知機能検査を行います。
免許の更新は3年に一度しかないため、その3年間で認知機能が低下した人への対策が取れないことから導入されることになりました。検査の内容は更新時の認知機能検査と同じです。

2-2 臨時適性検査

臨時適性検査とは、都道府県公安委員会が指定する(または、かかりつけの)専門医への受診のことをいいます。

従来は、更新時の認知機能検査の結果が第1分類の者のうち、一定の交通違反をしたときに臨時適性検査を行っていました。
(ただし、平成26年中に第1分類で臨時適性検査を受けた者はわずか2.3%程度のものでした。)

法改正後は、第1分類になった時点で臨時適性検査または医師の診断が必要になります。また、更新時の認知機能検査だけでなく、臨時認知機能検査で第1分類になった者も臨時適性検査または医師の診断が必要となります。
認知症と診断された場合は免許の取り消しとなります。(認知症が6ヶ月以内に回復する見込みがあれば免許停止となります。)

以下のパブリックコメントも参考にどうぞ。

法第102条第1項から第4項までの規定による臨時適性検査に係る通知を受けた者が、通知された期日までに一定の医師の診断書を提出した場合に臨時適性検査の受検を免除されることとなる。
この診断書の要件は、臨時適性検査の通知を受けることとなった事由に係る主治の医師が作成した診断書であって、臨時適性検査を受けることとなった事由に該当しないと認められるかどうかについて当該医師の意見が記載されているものであることとする。

参考 臨時適性検査の実施率(平成26年)
平成26年中の認知機能検査で第1分類になった人数
53,082名
第1分類になった者のうち、臨時適性検査を実施した件数
1,236件
臨時適性検査を受検した割合
2.3%

2-3 臨時高齢者講習の導入

従来は免許の更新時のみ高齢者講習を行っていました。道路交通法改正後は、更新時だけでなく、臨時認知機能検査を受けた者が一定の基準に該当したときも臨時に高齢者講習を行います。臨時高齢者講習を受講しない場合は、免許停止の対象となります。

一定の基準とは
認知機能が前回(更新時に受けた認知機能検査)よりも低下している場合が該当します。

2-4 高齢者講習の時間と内容

高齢者講習の時間が変わりました。
従来は75歳未満か75歳以上かで講習の時間が分けられていましたが、道路交通法改正後は変わります。

高齢者講習の詳細な内容はこちらの記事をご覧ください

75歳未満と75歳以上の第3分類の人

高齢者講習の合理化により、従来よりも講習時間が短くなっています。
法改正前:3時間→法改正後:2時間
ただし、75歳以上の人は事前に認知機能検査が必要です。(30分)

75歳以上の第2分類と第1分類の人

高齢者講習の高度化により、従来よりも講習時間が長くなります。
法改正前:2時間30分→法改正後:3時間
双方向講義や個別指導といった新しい内容も盛り込まれています。
75歳以上なので事前に認知機能検査が必要です。(30分)

2-5 認知機能検査と高齢者講習の料金

従来の料金

  1. 認知機能検査:650円

  2. 高齢者講習(75歳以上):5,200円
    ※小型特殊のみの方は2,250円

  3. 高齢者講習(75歳未満):5,600円
    ※小型特殊のみの方は2,250円

75歳以上の方は認知機能検査と高齢者講習(75歳以上)を受講するので5,850円必要です。
75歳未満の方は高齢者講習(75歳未満)を受講するので5,600円です。

平成29年の法改正後の料金

  1. 認知機能検査:650円

  2. 高齢者講習(2時間):4,650円
    ※小型特殊のみの方は2,000円

  3. 高齢者講習(3時間):7,550円
    ※小型特殊のみの方は4300円

75歳以上で2時間の講習を受ける方は認知検査と合わせて5,300円です。
75歳以上で3時間の講習を受ける方は認知検査と合わせて8,200円です。

75歳未満で2時間の講習を受ける方は4,650円です。
75歳未満で3時間の講習を受ける方は7,550円です。

実際のところ、第3分類になる方が多いので、2時間の講習で済む方の割合が多くなります。つまり、法改正後になると料金が安くなる方が多くなります

3 高齢者講習の経過措置

高齢者講習は平成29年3月12日に改正されますが、経過措置があります。以下は平成28年5月のパブリックコメントからの抜粋です。

運転免許証に係る更新期間が満了する日が施行日から起算して6月を経過した日前である者に対する高齢者講習の区分、講習方法、時間、手数料等については、これまでと同様のものとする。

更新期間が満了する日の6月前は、免許の更新期間の開始日になります。そのことを踏まえて「更新期間が満了する日が施行日から起算して6月を経過した日前」を言い換えてみると、「更新期間の開始日が施行日を過ぎていると」となります。

つまり、更新期間の開始日が3月12日の人から新高齢者講習を受講する人ということです。

例えば、Aさんは更新期間の開始日が平成29年の3月1日だとします。Bさんは更新期間の開始日が平成29年の3月31日だとします。
AさんとBさんが法改正後の4月15日に高齢者講習を受けるとしましょう。この場合どうなるのかというと、

  • Aさんは更新期間の開始日が3月12日より前なので、現行の高齢者講習です。
  • Bさんは更新期間の開始日が3月12日より後なので、新しい高齢者講習です。

同じ4月15日に受講する人でも新旧の高齢者講習に分かれるので注意が必要です。法改正があるときは複雑になりますね…


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柊にわか(ひいらぎ にわか)といいます。 自分が成長するのが好きな40代の男です。 パソコン、ジョギング、料理、お笑い、映画、ディズニー… ジャンルを問わず、興味をもったら首をつっこんでしまいます。 成長するのが止まったら自分の人生は終わりだろうなぁ。